『やっぱり漫画はおもしろい月刊モーニング・ツー』

『世界のはじっこを描き出す小さなコミック誌ITAN』

2018.02.11（Sun）【即日レビューありの】即日新人賞その７ in コミティア123レポート

モーニング・ツー 『雪明けのワンダー』 NICOMICHIHIRO

参加サークル名:金字塔 あらすじ 高校生の明里（あかり）の家では、 目を離すと家中の物が散らかってしまう不思議な現象が起きていた。だが明里は驚かない。それをやっているのが、家に出るようになった「不思議な存在」であると知っていたからだ。こいつは、幽霊なのか悪魔なのか幻覚なのか、それとも――。
＜モーニング・ツー掲載＞

講評

絵の表現力が抜群だと思います。この物語を通じて主人公の明里がどのように変化したのかを、言葉だけでなく彼女の表情で表現してみせるところに、描き手としての力を感じさせます。あとは、「何が描きたいのか」を煮詰めてゆくだけです。
是非連載を。

アフタヌーン 『スマートフトン』 ぺよだへにゃよ

参加サークル名:ペプパピポ
あらすじ 布団共生社会の到来によりいつでもどこでも睡眠欲を満たせるようになった時代。二人の女の子が思いっきり布団にもぐってむにゃむにゃぐうぐうする物語。

講評

発想が面白いだけでなく、本当に起こりうるかも……と思わせる設定の作り込みもできており世界に引き込まれました。キャラクターのスローテンポなやりとりやゆるい絵柄が相まって、寝る前に読みたくなる作品です。

ＩＴＡＮ 『ただいま、ダルセーニョ』 朴玲華

参加サークル名:Lyon
あらすじ 舞台は、京都にひとつしかない朝鮮中高級学校。在日コリアンたちが通う中高一貫校で、14歳の鄭未来（チョン・ミレ）はテナーサックスの練習に励んでいた。ほとばしる青春・吹奏楽ストーリー。

講評

京都×朝鮮学校×吹奏楽部という舞台設定と、主人公の鄭未来のひたむきさに胸を打たれました。「自分を肯定したい」という作者の明確なメッセージを感じ取れる秀作です。

アフタヌーン 『鳴きヤミ』 つるまいかだ

参加サークル名:ratum
あらすじ 廃部寸前の剣道部。存続を願う二年生・小林が見つけた新入部員は、少女のような一年生・伊藤。壊滅的な成績の伊藤が部活を続けられるよう、小林は特訓を始める！

講評

中盤まで４コマ形式で語られていますが、毎回ちゃんとオチをつけながら進んでいくのが見事！　後半一転してシリアスな大ゴマになり、空気感ががらっと変わるギャップも魅力。

アフタヌーン 『逃避行ゾンビと廃屋の決闘』 倫理きよ

参加サークル名:オミキドックリ
あらすじ 自分たちが迫害されずに暮らせる島を目指して旅を続けるゾンビの兄妹。廃屋を宿に決めた矢先、肝試しの学生達がやってきてしまう。見つからぬよう撃退を目論むが……？

講評

人間よりも弱いゾンビの兄妹という設定がとてもチャーミング。絵柄も華があり、コマ割りも明快で最後までスムーズに楽しく読ませていただきました。長編でも読んでみたい！

モーニング・ツー 『青春実況』 ふじもとこっち

参加サークル名:あっちこっち
あらすじ 市立東茜中学校。ここには、生徒たちが送る普通の青春を、命懸けで「実況」する男がいた――！　告白、パン争奪競争……白熱の実況付きで描かれる、バカバカしいけど愛おしい青春の日々。

講評

何気ない日常を「実況」すると面白くなる、というアイデアが素晴らしい！　コマ割り、構図も良く、読みやすいのも◎。アイデアをしっかり形にするセンスを感じました。

モーニング・ツー 『亡星のストレンジャー』 高瀬真一

参加サークル名:電気モグラ
あらすじ 地球に異星人が攻めてきたが、人間は何とか彼らに勝つことができた。そして多くの異星人は地球に残り続けた。
主人公であるメイはそんな異星人を地球に馴染ませようとするが……。

講評

キャラクターがイキイキ動いていて、見ているだけでも楽しかったです。画力もあるし、構図も上手いし、構成力もあります。あとは、読者が楽しめるテーマや軸を見つけましょう。

受賞者の皆さまの今後の活躍にご期待ください！