夏休み前の進路相談。高校2年の木本咲は数日前に見たテレビを思い出していた。そこにはプロ棋士として活躍する中学時代の同級生・城間出の姿が。先の見えない自分と前を進む城間を比べ、転がる心の先には…?
夏休み前の進路相談。高校2年の木本咲は数日前に見たテレビを思い出していた。そこにはプロ棋士として活躍する中学時代の同級生・城間出の姿が。先の見えない自分と前を進む城間を比べ、転がる心の先には…?
女王の秘密を探り、とある目的を果たそうと、城に忍び込んだリーブル。しかし、女王の逆鱗に触れてしまい、交渉決裂!? そこへ、リーブルに一目惚れしたアスカロン姫が現れる。アスカロン姫が母の秘密を知ってしまったことで、事態はさらに大ごとに……! リーブル、どうする?
はじめまして、千代多みく郎と申します。
当たって砕けろの精神で原稿を送って、そこが終着点かと思いきや、まさか受賞のお電話を頂けるとは誰が予想できたでしょうか……。
そのときは何かの詐欺にあったのかと担当さんを疑いました。
この場をお借りして陳謝します。すみませんでした!
絵描きとしてどうしようもないド素人ですが、七転八倒しながらがんばります。
【幽体ナルコレプシー】「私、杉谷直子は死にました。下校中、トラックにはねられて……。だけど、私は、幽霊になって元気に学校に通っています!」――事故のあと幽霊としての日々を送る直子。幽霊だけどお腹はすくし、友達とも普通に話せます。クラスメイトのユースケとだって……。けれど周りの友達は様子が変。直子が幽霊だから? それとも……。
【bebe】人に害をなす化物を倒すために作られた“ファルクス騎士団異形部隊”。そのひとりであるニグロ・ヘンブスは吸血鬼。彼には、人の味方をするべくした哀しい過去があった……。あるとき出会った移民の少女と、彼女が唯一心許す友達・フランチェスコ。しかしニグロは仕事ゆえに、彼らを引き離さなければならない!
絵柄がかわいらしく、人物の表情も生き生きとしていて、これからどんどんうまくなりそうな将来性を感じます。読者を驚かせよう、引き込もうとする意欲があり、好感が持てます。人の気持ちをきちんと描こうとしているところも◎! ただし、まだ細部の詰めが絵にも話にも甘い部分が目立ちます。絵は、少々雑さが目立ち、それが印象を悪くしています。お話も、どんでん返しが途中で読めてしまうのが残念。エピソードのひとつひとつに自分色を出そう!
機械人形ビュグマリオン――。彼らは主のために壊れることをいとわない。そして彼らは何百年も同じ姿で同じ心のまま、生き続けることができる。不老不死の体を持つ、元人間の機械人形の青年オースティンがその何百年もの歳月、どのような風景を見てどのような人々と出会い、そしていま何を想うのか…。106ページにも及ぶ壮大なドラマ。
世界を一から構築するパワーに圧倒! 106ページという超ボリュームにもかかわらず、最後まで引き込まれました。そして醸し出される上品さも素晴らしい。キャラと世界観ともに上質な空気感が漂っていることが、この作品の一番の強みですね。作者の頭の良さを存分に感じさせる巧みなストーリーテラーぶりも見事です! 逆に言うともう少しの刺激がほしかった。上質感漂う作品だからこその圧倒的絶望や圧倒的悲しみの表現をもっと見たかったです。そうすればテンポが増し、強調が出来、106ページをもう少しシャープに絞れます。次回作に期待大です!
いなくなった母親の喪失感にさいなまれている少年と、ふとしたことがきっかけで過剰なまでの潔癖症になってしまったもう一人の少年。だれかとつながることなど思ってもみなかった二人が、偶然出会って……?
一切のネームを排し、すべてシーンだけで見せきった意欲作。前作にも増して1シーン、1シーンの存在感に磨きがかかり圧倒されました。表情や仕草だけでキャラクターたちの個性を伝えてくるところが、田中さんの最大の魅力です。
今後はもう少しドラマ性のある展開を意識できると、もっと面白い作品になると思います。これからもぜひ、漫画の新しい可能性に挑戦していってください。期待しています!
「人」と「植物」の交わり者“ヒュマプランツ”。王女・エバンジェリンは、種族繁栄のための跡継ぎ候補との結婚を迫られていた。愛し合った者同士でなければ婚儀を成すことができない種族、それがヒュマプランツ。婚儀に失敗すれば、その身もろとも枯れ果ててしまうという。だが、エバンジェリンには密かな想い人がいて……?
前作に続き、読者をワクワクさせるような世界を表現できる確かな画力に惹き込まれました。お城や衣装など、細部にまでこだわりが見られます。ただ、せっかくの設定がストーリーに活かしきれていないところがもったいなかったと思います。キャラクターの個性が薄く、ストーリー展開もありきたりなものになってしまっているので、今後は“人間を描く”ということを課題に頑張っていってください。
おばあちゃんの死、母と父の別居…。多感な時期を迎えた小4の夜子は、母に「中学はお父さんのところから通う?」と言われ、そのデリカシーのなさに心を閉ざす。母の愛がわからず悶々とする夜子の一番の話し相手が、400年山に生き、夜子の一族をずっと見てきた「山響呼」だった──。
絵柄、セリフ、作品全体に流れる空気感…すべてに独特のセンスを感じます。そして何よりも、「山の神」と言われる「山彦」を擬人化し、なおかつ神聖なものとして描かず、頼りなさげなキャラとして描く発想が、とても斬新でした。41ページと長めでしたが、ネームや見せ場の整理をしてもう少し短くまとめると、さらに印象的な作品になったと思います。構成力を磨いて、今以上の唯一無二の世界を描いてください!
高校生のユキのお母さんはキャラクターデザイナー。怪獣映画に出てくる怪獣といった、ヒト以外の生き物をデザインしている。母娘二人の生活の中で、食事の用意から何から、家事全般はほとんどユキのお仕事。そんなある日、二人の間にちいちゃな事件が起こって?
人間味溢れる優しい絵柄とストーリーがとても個性的でした。怪獣たちにも愛嬌があり、見ているだけで楽しい気持ちになれます。身近な日常を切り取る視線に優れていて、そこが最大の魅力ですが、ストーリーの流れの中で登場人物たちの気持ちがもう少し大きく動き出す様を描けるともっと深い味わいが出てくると思います。唯一無二の作品世界を目指してこれからも頑張ってください。
ドラキュラ家の跡取り坊ちゃん・ルルは、血よりもお菓子が大好き。でも、そのせいで歯医者に通うハメに。意地悪な歯科医のベッカーにいつもからかわれるけれど、なぜか彼のことが気になって、牙がうずいてきて……。そしてベッカーの本当の姿を知ったルルは!?
とにかくキャラが秀逸! 萌えました! ストーリーもテンポよく進み、よく整理されています。絵も丁寧で、とても華やか。キャラのかっこよさ、かわいさの見せ方を熟知している感じを受けました。続きが読みたいと思わせるキャラクターが作れることは、素晴らしい才能です。今後も読み手をドキドキさせるキャラクターをどんどん登場させてください。次回作にも期待しています。
時は20××年。人間とヴァンパイアは共存のため、「人間は昼、ヴァンパイアは夜」という住み分けを始めた。それぞれがすれ違うなかで、ヴァンパイアの沙紀(♂)は結婚する妹を見送ってあげたいが、そこには大きな問題が!?
オリジナリティのある設定を生かしたキャラ作り、ストーリー展開に、とても可能性を感じます。絵は多少堅い印象ですが迫力があり、見せ場のインパクトは強烈でした。今回はラストがバッドエンディングともとれる展開だったので、次回作ではもう少し読後感のよい作品にチャレンジしてください!
母親に捨てられ、祖父に育てられた少女・潤。しかし彼女は寂しくなかった。虫さえいれば…。潤の体の中に住むトンボのギンと会話をしながら、虫と戯れて暮らす潤。ある日、虫を殺している少年・甲に出会う。彼は包丁を隠し持ち、父親を殺す気でいた……。
画力のレベルが非常に高いです。写実的な虫を使っての幻想的な画面作りには一目置くものがあり、人物の表情も生き生きとしています。しかし反面、重要なアイテムである虫がストーリーの根幹には実はあまり絡んでこないために、設定だけの存在になってしまっています。ふたりの心が交わる瞬間のエピソードも少々抽象的過ぎて、ズバッと伝わってこないのが残念。しかし、自分だけの世界を描こう!という意欲がとても感じられました。エピソードのひとつずつとストーリーがどう関わっているのかを精査しながら作るとよりよくなるのではないかと思います。
前回に続いての登場、永遠の13歳・吸血児シグマくん! 身体測定の前日は大忙し。なぜなら、体重を気にする女子たちが、「シグマくん、血を吸って体重減らして」と頼みに来るから。大好きな血を吸い放題、女子も大喜び。シグマ、モテモテ? でも、そうはうまくいかないのだよ、シグマくん!
前回奨励賞受賞で、すでに編集部内でもおなじみとなった「シグマくん」。
今回はシグマくん以外にも、貧血のマドンナやパペットパンダの「パン血鬼」など、強烈キャラが登場。暴走度がさらにアップ!。一方で、吸血鬼の定番ネタが少なかったため、シグマくんワールドに入りにくくなったというデメリットも。どのネタで勝負するにせよ、今度は「つかみ」を重視してみてください。
魔力の源は記憶と知識――。二千年生き続ける吸血鬼は辺境の小さな屋敷に召使のサラと二人で住んでいた。彼はそう遠くない未来、己の身体は膨大な魔力を許容しきれずに消滅するだろうと感じていた。毎日彼女の笑顔を見れるだけで満足だった日々。だが、その瞬間は刻一刻と迫ってきて…。
画力・ストーリーともにブレがなく安定しており、完成度の高い作品です。そして女の子がかわいいというのも高評価! かわいく描けるというのは強い武器です。終盤にかけての少女の心理描写も巧みでした。ただ残念なのは、展開がパターンになってしまっていること。巧みな展開がうまい作者だからこそ、もっともっと驚きのある起承転結が読みたいです。「自分の個性ってなんだろう…」ということを深く追求していけば、新たな世界を築けるはずです!
経済史の授業で学校の近くにある埋め立て地放置の話が出たので、なんとなく行ってみた主人公は、誰かがカエルを焼き殺しているところを目撃する。カエルを殺す理由はなんだ――。主人公はカエル殺しの少女を追い、接近を図る。少女の素性を調べた主人公は、やがて観察を始めるが…。
狂気がいい。そして狂気をこれでもかと表現しようとする粘る姿勢がいい。そして、狂気は日常に潜んでいるという展開がうまい。狂気がうまいから、冷静さもうまい。ラストの落としどころがあいまいだが、それを上回る才能を感じます。そして原稿の空間の使い方がうまいですね。作品に潜む違和感を構成で見事に表現されています。新しいものを描ける方だと思います。今後に期待です!
第1回第1次応募で優秀賞を受賞した千代多さん。渾身の2作目で見事大賞に輝きました! 千代多さんの最大の武器は、繊細なタッチで描く美麗かつ迫力ある絵柄。そして魅力あるキャラクターです。今回は前作に比べて、ストーリーも作り込んでいこうという意志を感じました。描けば描くほど進化していく勢いを感じますので、今後が非常に楽しみです。型にはまらない壮大な世界観を表現できる才能に期待大!