第6回スーパーキャラクターコミック大賞

第6回スーパーキャラクターコミック大賞の結果発表、お待たせいたしました! 今回もたくさんの才能が集結し、結果、優秀賞2名、奨励賞2名が決定しました。優秀賞の2名はこれでデビューとなり、隔月刊化したITANでの活躍を大いに期待しています! 次回の締め切りは2013年1月11(金)。次のデビューは、あなたかも!? たくさんのご応募、お待ちしています。

これまでのデビュー者たち
第1回大賞受賞 田中相さん|バレーボール漫画「その娘、武蔵」連載中 コミックス「千年万年りんごの子」「世界はポケットの中の庭」「誰がそれを」発売中
第1回大賞受賞 千代多みく郎さん|「メルヒェン ヴェルト」連載中 コミックス「少女鉄姫グランジ」発売中
第2回優秀賞受賞 以冬リ子さん|受賞作「ギミックブレイカー」がITAN14号に掲載!
第2回優秀賞受賞 カムさん|「キラキラ光る嘘の粒」連載中&コミックス1巻は2015年1月発売
第3回優秀賞受賞 北駒生さん|BE・LOVEにて「あさめしまえ」シリーズ連載中
第5回優秀賞 タナカミホさん|「いないボクは蛍町にいる」連載中&コミックス1巻発売中
第5回優秀賞受賞 篠田あやさん|受賞作「そらにはこぶね」がITAN10号に掲載!
第6回優秀賞受賞 長谷川ろくさん|「KEMARI」をITAN23号より短期集中連載
第6回優秀賞受賞|名越チゴさん|受賞作「and i」がITAN14に号掲載
第7回優秀賞受賞 芦田実希|「はじめのニット!」連載中&コミックス1巻発売中
第9回優秀賞受賞 畑リョウ|受賞作「黒猫のたんご」がITAN19号に掲載
第9回優秀賞受賞 かくたすず|受賞作「紙手」がITAN20号に掲載
第9回優秀賞受賞 いとよし|受賞作「神さま食堂」がITAN20号に掲載
第10回優秀賞受賞 紺 津名子|受賞作「私はお米を炊くかかり」がITAN23号に掲載
第10回優秀賞受賞 七瀬悠吾|受賞作「明日も世界はいつも通り」がITAN23号に掲載
第11回優秀賞受賞 織田涼|受賞作「能面女子の花子さん」は本誌&Webで絶賛連載中!
未来の才能、彼らに続け!
優秀賞【賞金30万円+副賞】
長谷川ろく「その春」
長谷川ろく「その春」
■ストーリー

人間の魂を運び、日々の生計を立てている死神兄弟。魂をスピーディーに運びバリバリ仕事をこなす兄と、人間に興味を持ち回収に時間がかかる弟。お前の分まで働くのは理不尽だ!と、兄に怒鳴られる日々。そんなある日、魂の回収依頼が弟に届く。迅速に回収せよ!と兄に命じられるが、生に執着しない老婆の魂に弟は興味津々。兄の忠告も忘れ彼女の最後の願いに付き合うことにする。だが、弟の仕事っぷりにブチ切れた兄は老婆の魂を無理やり奪い去り…!?

■講評

漫画歴1年とは思えない演出力、キャラ力で選考会では満場一致でデビューが決まりました。きちんとエンターテイメントに仕上げられていて、読み手に「面白い」を提供できる作品だと思います。ハッタリを効かす画面構成力もすでに身についているので、今後はそれをどう活かしていくのかも楽しみなポイントです。このまままっすぐに成長していってほしいと思いますが、デビューの場所はITANです。ファンタジー要素は入っていますが、物語としてはまだまだオーソドックスで、おとなしめ。ご自身の武器を見極め、次回は長谷川さんにしか描けない作品を発表していきましょう!

名越チゴ「and i」
名越チゴ「and i」
■ストーリー

世界中に愛された大スター歌手、オジー・ワシントン。彼には二人の息子たちがいた。その名はジェフとサイモン。弟のサイモンが歌で成功する一方で、兄のジェフはその才能に恵まれず、退屈な毎日を過ごしていた。そんな彼に一本の電話が。それは「僕の代わりに歌を歌ってほしいんだ」という弟のサイモンからの依頼だった。しぶしぶ出かけたジェフに、堕落していた人生がふっとぶ驚くべき事態が待ち構えていた──!

■講評

前回選外だったものの、相撲部勧誘漫画という超異端な題材に挑まれていた名越さんは、二度目の挑戦で見事デビュー。前作から大きく変わったのは人間の深みを真正面から描き切った部分。テーマを兄弟ひとつに絞り込み、運命と宿命に苦しむ姿を、持ち前のつややかな画力で軽やかに深く表現されました。ただ、贅沢を言えば主人公の悩みが想像を超えてほしかったですし、起こるエピソードがもっと衝撃的でも良かったです。今後は主人公を唯一無二にまでしっかり高めてゆきましょう。ITAN誌面でのこれからの活躍を楽しみにしています!

奨励賞【賞金5万円+副賞】
小泉苑出「骨と風車」
小泉苑出「骨と風車」
■ストーリー

地盤沈下と温暖化の影響で1階部分がほぼ水没してしまった学校。主な産業は観光。おすすめは「人魚ミステリーツアー」。──人魚の島と評される丸島に、新しい養護教諭・イガラシ先生(♂)がやってきた。キレイな女の先生が来ると信じていた男子たちはがっかりするものの、淡々としたイガラシ先生はそんな島でのゆるりとした生活を楽しんでいた。全校生徒7人という小さな海高で優しく過ごす日々。お互いの距離が縮まってゆくとき、大型台風が迫ってきて……!?

■講評

前回は同人誌投稿でシリーズもののクリーニング漫画を投稿された小泉さん。今回は一本の人間ドラマに挑戦されました。作品に漂う空気感と上質感は全投稿作でもトップクラス。作家性の高さを存分に感じさせてくれました。ただ、話がオチありきだったのが残念。結局主人公がなにがしたかったのか、具体的になにをしたのかが埋もれてしまいました。作品と読者を繋ぐ一本の架け橋が見たいです。メリハリを利かせることで淡々さを生かすなど、ご自身の表現の幅をさらに広げてほしいと思います。次のステージでは、もっと人間に執着して描けるはずです。次の投稿、楽しみにしています!

となり「君にこそその神の力あれ」
となり「君にこそその神の力あれ」
■ストーリー

絵が最高に下手くそだと自負する美果は、毎日公園で絵描きのおじちゃんの絵を見ていた。おじちゃんの描く絵はとにかくうまい。とてもかなわない。でも「もしも自分の描いた絵が、紙から現実に飛び出してきたら――こんな力を授かったら、どう思う?」と聞いた彼女におじちゃんは、美果ちゃんを笑顔にしてあげたいだなんて言う。じつは彼女には、秘密の力があった。神様に選ばれし人間はだれなのか、美果のほろ苦く愛らしい成長奇譚。

■講評

初めての投稿で、みずみずしくほとばしる才能を見せつけてくれたとなりさん。シンプルでわかりやすい話ですが、作者の想いが画面から溢れ出ていました。人間のコンプレックスや夢や希望を熱く描けており、このまままっすぐ伸びていってほしいと思います。改善点は荒削りの絵と、人間の深み。もう一歩客観的な視点で漫画を捉えたら世界がグッと変わりだすはず。次の投稿、期待しています!